任意整理では借金返済期間をどのように設定するのがベスト?

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任意整理の借金返済方法には一括返済と分割返済の2通りがあります。分割返済の場合、一般的な返済期間は3〜5年で、毎月一定額を支払います。返済期間が短いほど毎月の支払額が高くなるので、生活費とのバランスを慎重に検討しましょう。将来利息はカットされているので、借金の返済期間が違っても支払う借金の総額は同じです。

任意整理の借金返済方法は生活にどう影響する?

任意整理手続きをして借金を返済するときには無理のない返済計画を立てる必要があります。まず、任意整理にはどんな借金返済方法があり、返済期間が違えば債務者の生活にどのような影響が出るのかについて知っておきましょう。

任意整理での借金返済方法による影響の違いとは

任意整理は、裁判所を介することなく当事者間で和解に向けた交渉を行います。将来利息や遅延損害金のカット、利息制限法による引き直し計算などで借金総額を減らせることがメリットです。その返済方法には、「一括返済」と「分割返済」の2通りがあります。

①一括返済にする場合

一括返済をする場合は、当然ながら債務を一度に全額返済できるだけのお金を用意する必要があります。しかし他の貸金業者から借りては意味がないので、一括返済ができるのは、現実的には親兄弟や配偶者・親戚などに用立ててもらえるケースに限られます。債務者にとって、一括返済ができれば借金返済生活からすぐに解放されるメリットがあります。

②分割返済にする場合

任意整理で主流なのは、毎月決まった額を債権者に支払う分割返済です。任意整理後の負債額には利息がつかないので、一括払いも分割払いも返済すべき額は同じです。分割返済にすると、このメリットを活かして債権者と合意ができる返済期間を設定して借金を返していくことができます。。

任意整理での借金返済期間の長さはどう影響する?

任意整理の返済期間の長さは、債務者が債権者と交渉して決めるためケースごとに異なります。この違いは任意整理の交渉や債務者の生活にどのような影響を与えるのでしょうか?

一括返済をすると元本を減額してもらえる可能性あり!

一括返済は債権者にとって一度で確実に債権を回収できるメリットがあり、一括返済を条件に借金元本の減額を検討してもらえることもあります。

ただし、債権者側から早々に「一括返済をしてくれるなら減額する」と申し出てきた場合は、「利息の引き直し計算をされると返してもらえる額がもっと下がってしまう」との本音が隠れている可能性が高いです。

弁護士などの専門家に依頼せず、債務者本人が債権者と直接交渉する場合は特に注意が必要となるでしょう。

月々の返済額をどうするか

毎月着実に返済するためには、生活費と返済額のバランスが重要です。返済期間が長いほど月々の返済額を抑えることができ、生活にゆとりができます。逆に、一刻も早く返済を終えたいなら、家賃の安い家に移り住むなど生活費を抑えるための努力や工夫をして、月々の返済額を多めに設定することも可能です。

任意整理で借金の分割払い 返済期間はどれくらい?

では、任意整理の分割払いは何年かけて返済していくのでしょうか。任意整理は債務者と債権者が直接交渉して和解する手続きなので、借金の返済期間については法律上の規定はありません。債権者との合意が得られれば、債務者の事情に合わせて返済期間を調整することが可能です。

一般的な返済期間は3年間

任意整理後の分割払いは、返済期間を3年として毎月一定額を返済することが基本となっています。それはなぜなのでしょうか。

分割返済のイメージとは

任意整理に適しているのは200万円程度以下の借金とされています(※1)。仮に、利息カットや利息の引き直し計算を行ったあとの残債が200万円だった場合、3年間すなわち36回払いで返済すると、毎月5万6000円ずつ返済することになります。

なぜ「3年」がいいの?

なぜ3年が一般的な返済期間かというと、債務整理のひとつである個人再生が裁判所の調停案に沿って3年で返済することを原則としているからです。また、3年以上経つと債務者の家庭や仕事の状況が変化して支払能力に影響を与える可能性もあるため、当初の約束通り返済可能な期間のひとつの目安が「3年」とされているのです。

3年を超えて分割返済はできる?

先ほど「残債200万円で毎月5万6000円」と例示しましたが、もし収入が10万円ほどしかなければ、収入の半分以上を返済に充てることになり、かなり苦しい生活を強いられることになります。そんなときには、3年を超える返済期間を設定することも可能です。

「最長5年」と考える専門家が多い

任意整理の返済期間については、「最長5年」とする専門家が多いです。残債200万円であれば、年で60回の分割返済にすると月々の返済額は3万4000円程度に抑えることができ、借金返済の負担が軽減されます。一方、返済期間が長くすると、債権者にとってはなかなか債権回収が進まないというデメリットがあり、リスクも抱えることになります。そのため、5年を超える分割返済案では和解しない債権者も出てくるでしょう。

5年を超える返済期間が許されるケースも

しかし、実際は5年を超える分割返済が認められるケースも存在しますが、いくつかの条件があります。まず、債務者が安定的な収入を得ていて確実な支払い能力があり、完済の意志が固いこと。それに、貸金業者との取引期間が長く、今まで延滞することなく返済を続けてきたことなどです。さらに弁護士や司法書士などの専門家の交渉能力もポイントになります。

返済期間中に注意すべきこととは

支払いの遅れ、繰り上げ返済はどうなる?

任意整理手続きをして債権者との和解が成立した後、返済期間中は毎回決まった額を支払うことになります。この期間中に予定より多い額を支払えるようになったり、逆に支払いが遅れた場合はどうなるのでしょうか?

繰上げ返済はできる?

返済期間中には、転職してボーナスがもらえるようになった、親の遺産を相続したなどの理由で、予定外の臨時収入が得られる可能性もあります。返済計画で決めた金額は返済すべき額の最低ラインなので、それ以上の金額を支払う「繰上げ返済」を行うことも可能です。しかし、任意整理後は利息を支払う必要がないので繰上げ返済を行っても残債は変わらないため、家計を圧迫してまで繰上げ返済をするメリットはあまりありません。

支払いが遅れたらどうなる?

任意整理後に支払いを延滞してしまうことは、可能な限り避けなければなりません。しかしなんらかの事情で一時的に出費がかさみ返済が苦しくなったときには、1〜2回程度の延滞は大目に見てもらえるケースが多いようです。万が一延滞してしまいそうな場合は、必ず担当の弁護士などを通じて債権者に事前連絡をしておきましょう。また、延滞しないためには返済期間をあらかじめ長めに設定するなどの無理のない計画を立てることが何より重要です。

任意整理後の借金返済期間は返済額とのバランスに注意!

スムーズな任意整理は弁護士に相談を

返済期間の長さは、毎月の返済額を左右する重要な要因となります。毎月の生活費だけでなく、子どもの進学など数年先までの家族のライフイベントも考慮して、返済期間と返済額のバランスを慎重に検討するように心がけましょう。債権者側から少しでも有利な条件を引き出したいなら、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。

※1:参照元:石原豊昭『【借金完全整理】自己破産マニュアル』(国民自由者、2016) pp.26

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