特定調停の手続きの流れは?調停期日は裁判所で何をする?

簡易裁判所

特定調停は債権者の所在地の簡易裁判所に申し立てます。申立書のほかに、資産一覧や関係権利者一覧表などの資料も用意しなければなりません。調停期日は通常2回設定され、1回目は債務者のみ出頭して返済計画を検討します。2回目以降は債権者の主張も踏まえて合意を目指します。合意内容を記した調停調書や決定書は債務名義にあたります。

特定調停について

特定調停は、裁判所を介して行う債務整理手続きです。法律の知識がない人でも利用できるよう、裁判所の職員や調停委員らが手続きをサポートしてくれます。

まずは特定調停の対象者と申し立ての準備について説明します。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

特定調停の対象者は?

特定調停を利用するためには、債務額や債務者の経済状況など、一定の要件を満たしている必要があります。

3~5年で返済可能な債務額であること

特定調停では整理後の債務を原則3年で返済する計画を定めます。債務額が大きい場合は最長5年まで認めているケースが一般的です。
つまり3~5年あれば返済できる規模の債務を対象としているのです。3~5年では返済できそうにない場合は、個人再生や自己破産を検討する必要があります。

安定した収入があること

特定調停は、自己破産のように債務が免除されるわけではないので、手続き後には原則3年の返済生活が待っています。

特定調停を申し立てたいなら、安定した収入が欠かせません。必ずしも正社員である必要はなく、定期的に確実な収入が得られるならアルバイトでも大丈夫です。

また、申し立て時点で無職でも、1回目の調停期日までに職を得ていれば問題ありません。

自力で調べて行動する根気や環境があること

これは特定調停の利用の可否に関わる要件ではありませんが、申立人に必要な要素の一つです。

裁判所のサポートがあるとはいえ、特定調停は申立人に準備の手間がかかります。わからないことは自分で調べて最後までやり通す根気が必要です。

また、調停期日は平日に裁判所に行かなければならないので、希望する日に仕事を休める環境でないと難しいでしょう。

特定調停の申し立て手続きの流れ

①:まずは申立書類の作成

申し立てには、各種書類の準備が必要です。まず「特定調停申立書」は、裁判所の窓口で用紙が用意されているものを利用できます。また、申立人の資産の一覧表や関係権利者一覧表、借入状況がわかる契約書や明細、収入がわかる給与明細や家計簿なども必要です。

②:申し立ての費用を用意する

申し立てにかかる費用は少額で済みます。東京簡易裁判所の場合、申立手数料は1社あたり500円(収入印紙)、手続き費用は1社あたり420円(切手)です。

③:特定調停申し立て先が決まるの待つ

まず特定調停の申し立て先は、債権者の所在地を管轄する簡易裁判所と決められています。どの裁判所にするか、申立人が自由に選ぶことはできません。

一般的に、抱えている事件の数が多い都市部の簡易裁判所のほうが、調停の終了まで時間がかかる傾向があります。

④:取り立てがストップする

裁判所は、申し立てを受けた旨を債権者側に通知します。この通知をもって、債権者は取り立てを続けることが禁止されます。さらに特定調停の手続き中は返済も一旦中断されるので、取り立てや苦しい返済にストレスを感じていた人は、落ち着いて考える時間が持てるかもしれません。

また、債権者がすでに給与等の差し押さえなどの強制執行を行っている場合、申立人は申し立てと同時に民事執行手続の停止を申請します。すると、裁判所の判断によりますが、特定調停が終了するまで民事執行が停止される場合があります。

⑤:1回目の調停期日が決まる

特定調停の一般的なケースでは、調停期日は2回設けられます。申立人は毎回出頭する必要があります。

さらに、1回目の調停期日までに一度裁判所に出向き、債権者が提出した計算書(申立人の債務について法定利息で引き直し計算を行った結果を記載)・上申書(意見陳述書)を閲覧・コピーしておくと、手続きの記録が手元に残せて心強いです。

調停委員会とは

申立人の債務減額について話し合うのは「調停委員会」です。裁判官1人と弁護士資格を持つ民間人から選ばれた調停委員で構成されます。裁判所によっては、1回目の調停期日の前に、事前打合せや事前相談日が設定され、担当調停委員に相談することも可能です。

調停委員会は、申立人の債務について利息制限法に基づく引き直し計算を行い、申立人・債権者の双方の意見を聞いて、債務減額の調整と返済計画の提案を行います。

1回目の調停期日の内容

通常、1回目の調停期日に債権者は呼ばれず、申立人と調停委員が今後の返済計画について話し合う事になります。申し立て時に提出した書類を元に、調停委員から内容確認の質問が行われるでしょう。

話し合いのポイントは、毎月返済可能な金額の調節です。この際、返済額が、申立人の収入から生活費を差引いたぎりぎりの額とならないよう、注意が必要です。毎月多少の貯金が可能で、失業や病気など不測の事態を考慮した返済計画が理想です。

⑥:2回目の調停期日

2回目以降の期日には、各債権者も含めた話し合いが行われます。

1回目の期日で作成した返済計画をたたき台に、調停委員が債権者ごとに意見の陳述を求め、返済計画の調整を図ります。

債権者と顔を合わせない配慮あり

これまでに返済を延滞してしまったり、取り立てでストレスを感じていた場合は、債権者と顔を合わせるのは抵抗があるかもしれませんが、調停委員会は、申立人と債権者を別の部屋に待機させ、調停室には個別に案内して意見を聞きます。

両者が顔を合わせるのは、原則調停が成立した場合のみなので、あまり心配はいりません。

債権者が欠席した場合

しかし特定調停では貸金業者は出頭しないケースが多くあります。欠席した債権者が提出している「上申書」の内容が、「調停に代わる決定(民事調停法17条決定)をして下さい」となっている場合は、調停委員が電話等で話を聞き協議します。

調停成立

調停が成立すれば、合意内容をとりまとめた調停調書を作成します。

調停調書は、判決と同等の効果を有する「債務名義」に当たります。万が一、調停成立後の返済を延滞した場合は、債権者が給与の差し押さえなど強制執行による債権回収が可能になります。
なお、「調停に代わる決定」がなされた際に作成される決定書も、債務名義です。

特定調停の手続きの流れまとめ

特定調停は弁護士などのサポートがない分、資料作成や手順の確認などをすべて債務者自身で管理しなければなりません。

仕事が忙しい方や事務作業が苦手な方は、経験豊富なプロに任せたほうが借金問題の解決の近道となるでしょう。相談無料という事務所も多数あるので、ぜひ気軽に相談してみてください。

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