個人再生で給与差し押さえは止められる?強制執行停止(中止)までのプロセス

給料受け取り

借金を滞納していると「給与差し押さえ」されてしまう

クレジットカードや銀行カードローンなどの借金をしていると、ついつい支払いが遅れて延滞状態に陥ってしまうことがあるものです。長期延滞していると「給与差し押さえ(強制執行)」が行われるおそれもあり、要注意です。

給与差し押さえとは

給与差し押さえとは、債権者が債権回収のために給料を差し押さえて取り立てることです。借金を滞納していると、一括請求書が届いて裁判や支払督促を起こされて、最終的に給与を差し押さえられてしまいます。給料が差し押さえられても全額をとられるわけではありませんが、一部が債権者に支払われるようになるので手取り額がガクンと減ってしまいます。

給与差し押さえでどのくらい手取り額が減るのか

実際に給与差し押さえをされたとき、どのくらい手取り額が減るのかみてみましょう。

給与差し押さえの対象となる範囲

給与差し押さえの対象となる範囲は、総支給額から税金や社会保険料などの法定控除額を引いた金額です。いわゆる「手取り額」を基準に計算されることとなります。ただし通勤手当は算入しません。
社内積立金や共済費用などは給与から引かれていても差押えの対象になりますし、基本給だけではなく残業代や家族手当、住居手当などの各種手当ても差押え対象となります。
たとえば給与の総支給額が30万円(残業代や家族手当含む)、税金や社会保険料が6万円、通勤手当が1万円の方の場合には、24万円が差押えの対象となります。

手取り額が33万円以下の場合

実際に差し押さえられる金額は、手取り額の金額によって異なります。手取り額が33万円以下の方の場合には、その「4分の1」が差し押さえられます。それ以上差し押さえると債務者が生活できなくなるおそれが高くなるためです。そこで差押えが始まると、給与の手取り額がこれまでの「4分の3」になります。
たとえばこれまで24万円受けとっていた方は18万円になってしまうということです。

手取り額が33万円を超える場合

一方、給与の手取り額が33万円を超える方の場合には、33万円を超える部分が全額差押え対象となります。33万円もあれば生活には十分と考えられるからです。
たとえばこれまで給与を60万円受けとっていた方であれば、その後は手取り額が一気に33万円にまで減少してしまい、大幅に生活を縮小しないと生活が成り立たなくなってしまいます。
高額な住宅ローンを払っていた方などは、差押えと同時に住宅ローンを払えなくなる可能性も高くなります。

給与差し押さえによって発生するさまざまなリスク

実際に給与差し押さえが行われるとどういったリスクが発生するのか、みていきましょう。

手取りが減って生活が苦しくなる

給与を差し押さえられると、手取り額が大きく減少します。33万円以下の方の場合、もともとそれほど給与額が多いわけではないのにいきなり給与額が4分の3になることで、ますます生活が苦しくなってしまうでしょう。
家族がいる方は、子どもの学校の費用の支払いが苦しくなったり塾や習い事を辞めさせざるを得なくなったりする可能性もあります。他の借金の支払いも困難となるでしょう。

家族や職場に借金問題を知られる

給与差し押さえが行われると裁判所や債権者から会社宛に通知がありますし、債権者名も明かされます。すると、会社の給与計算担当の人などには確実に「カード会社から給与差し押さえを受けている人」であることを知られてしまいます。役員レベルの方々にも知られてしまうでしょう。
給与差し押さえをされたとき、家族に借金問題を知られるかどうかも心配です。確かに給与を差し押さえられても家族へ通知はありませんが、いきなり給与の手取り額が減ったら普通は怪しまれてしまいます。給与明細書にも差押えに関する記載が行われるでしょうし、問い詰められたら隠し通すのは困難となるでしょう。

偏頗弁済になってしまう

債務整理の中でも「個人再生」と「自己破産」では「偏頗弁済」が禁じられます。
偏頗弁済とは、特定の債権者のみ優遇して支払をすることです。給与差し押さえの場合、自分で望んで特定の債権者に支払をしているわけではないのですが、客観的に見るとそうなってしまいます。

個人再生準備中の給与差し押さえが偏頗弁済として扱われることも

他の債権者に支払わずに特定の債権者から給与差し押さえを受け続けると、後に個人再生を申し立てるときに「偏頗弁済」扱いされて、支払い額を増やされてしまうリスクがあります。
個人再生では、「偏頗弁済した金額を通常の再生債務の額に上乗せしないといけない」決まりがあるためです。

以上のように、給与差し押さえを受けるとさまざまなリスクがあるので、放置しておくと危険です。できれば差押えを受ける前に対応すべきですし、万一差押えを受けてしまったら早急に止める必要があります。

個人再生によって給与差し押さえを止める2つの方法

「給与差し押さえなんて、どうやって止めれば良いんだろう?」
以下ではその方法をご紹介します。

個人再生の「申立後」、2つの方法によって給与差し押さえを止められる

実は「個人再生」をすると給与差し押さえを止めることが可能です。

個人再生は借金を整理するための「債務整理」の1種です。裁判所に申立をして、借金の支払金額を5分の1など大幅に減額してもらえます。

個人再生によって給与差し押さえを止める方法には2種類ありますが、どちらの方法も「裁判所に個人再生の申立をしてから」しか止められません。個人再生で給与差し押さえを止めたいなら、早急に裁判所に個人再生の申立をしなければなりません。

以下では、早く給与差し押さえを止められる順番に2つの方法をご説明します。

個人再生申立後に「強制執行中止命令」を申し立てる方法

1つ目の方法は、個人再生の申立後に「強制執行の中止命令」を申し立てる方法です。

個人再生の裁判所に「強制執行中止命令」を申し立てる

個人再生を申し立てても、すぐに「個人再生の手続き開始決定」が出るわけではありません。東京地方裁判所のように「個人再生委員」が」選任されてさまざまなやりとりが発生し、開始決定までに1か月程度かかることもあります。

このように個人再生の申立後、個人再生の手続き開始決定が出るまでの間に裁判所に対し「強制執行中止命令」を申し立てるのです。給与差し押さえが続くと生活が立ちゆかなくなるおそれなどがあれば、裁判所から給与差し押さえの中止命令を出してもらえます。

執行裁判所に執行停止の申立書を提出

個人再生の裁判所で強制執行の中止命令が出ても、すぐに給与差し押さえを止めてもらえるわけではありません。個人再生の裁判所と強制執行を行った裁判所は別々で、互いに連絡していないからです。給与差し押さえを止めるには、債務者が自分で執行裁判所に対し、強制執行が注視されたことを報告しなければなりません。

具体的には中止命令の正本を添えて、執行裁判所に給与差し押さえの「執行停止の申立」をします。つまり、個人再生の裁判所から受けとった書類を強制執行の裁判所に提出するのです。このことで、強制執行の裁判所が給与差し押さえを解除してくれます。

個人再生手続き開始決定によって強制執行を止める方法

個人再生によって給与差し押さえを止めるためのもう1つの方法が「個人再生手続き開始決定を待つ」というものです。

個人再生手続き開始決定があると、当然に強制執行が止まる

個人再生の申立に書類上不備がなく、個人再生委員も「問題ない」という意見であれば裁判所が「個人再生手続き開始決定」を出します。すると、それまで行われていた強制執行は自然に中止して給与差し押さえも解除されます。この場合には、「強制執行中止の申立」などの対応をする必要はなく、強制執行が勝手に止まります。

執行裁判所に執行停止の申立書を提出

ただし個人再生手続き開始決定によって自然に給与差し押さえが止まったときにも、やはり強制執行の裁判所にそのことが伝わりません。そこで、個人再生手続き開始決定があったことを債務者自身が執行裁判所に知らせる必要があります。

そのためには裁判所から受けとった「個人再生手続き開始決定書」を添えて執行裁判所に対し「執行停止の申立」を行います。すると強制執行の裁判所が、給与差し押さえを止めてくれます。

個人再生によって給与差し押さえを止める方法のまとめ

個人再生によって給与差し押さえを止めたいとき、すぐにでも中止してほしいならまずは個人再生を申し立て、同時に「強制執行中止命令の申立」をしましょう。

少し余裕のある方や、個人再生委員が選任されない裁判所で早期に手続きを開始してくれそうな場合には、あえて中止命令の申立をしなくても数日後に「個人再生手続き開始決定」をしてもらえたら自然と給与差し押さえを止めてもらえます。

これらのどちらの対応をとるかについては、個人再生を依頼している弁護士と相談して決めるのが良いでしょう。

強制執行を中止しても給料を全額受けとれない!

以上のようにして個人再生申立によって給与差し押さえを止めたら、通常は「その後は給料を満額受け取れる」と考えるものです。

しかし実際には、給与差し押さえが中止されても給料は全額支払われず、相変わらず手取り額が減らされたままになります。
いったいなぜなのでしょうか?減らされた金額はどこへ消えてしまうのでしょうか?

差し押さえ対象の給料は、会社が取り分けて管理する

実は給与差し押さえが「中止」された場合、まだ差押えは「失効」していません。その後再開するかもしれないという前提となっています。
最終的に給与差し押さえの効果が無くなるのは再生計画の認可決定が確定したときです。もしも個人再生に失敗して再生計画の認可が下りなければ、いったん中止された給与差し押さえは再開されます。

そこで差押え対象となったお金は、再生計画認可決定が下りて最終的に個人再生が終了するまで取り分けられて管理されます。具体的には会社が自主的に取り分けて管理するか、法務局に供託され続けます。

取り分けられた給料を受けとれるのは原則的に個人再生が終了した後

このように、強制執行の中止後に取り分けられた給料は、最終的に個人再生の再生計画案が認可され、確定した時点で債務者にまとめて支払われます。
個人再生の申立てによって給与差し押さえを止めても手取り額は元に戻らず、相変わらす低額な給料で生活を維持しなければならないのが原則です。

強制執行の中止後、すぐに給料を全額受け取る方法

「せっかく個人再生申立によって強制執行を中止したのに給料の手取りが少ないままでは困る!」という方もいるでしょう。

その場合、再生計画の認可決定前に給与差し押さえを「失効」させて、債務者の手元に全額払ってもらう方法があります。

強制執行の取消命令を発令してもらう

それは「強制執行の取消命令」を発令してもらう方法です。
裁判所が「このままでは債務者の生活や個人再生に多大な支障が及ぶので、給与差押えを取り消しなさい」という命令を出してくれたら、給与差し押さえの効力が失われて給料を全額受け取れるようになります。

強制執行の取消命令を出してほしいときには、給与差し押さえが中止された後に個人再生の裁判所に対して申立をします。ただし必ず取消をしてもらえるとは限らず、給与の手取り額が減る事によって債務者の生活に著しい支障が及んだり積立をできなくなって個人再生に著しい支障が出るおそれがあったりする場合に認められます。

取消命令が出ると、それまで会社などに取り分けられていた給料もまとめて受けとることが可能です。

債権者に給与差し押さえを取り下げてもらう

実は個人再生で給与差し押さえを止める方法にはもう1つあります。それは「債権者に連絡をして自主的に取り下げてもらう」方法です。

給与差し押さえを取り下げてもらう方法

個人再生を申し立てると債務者は給与差し押さえの中止命令を申し立てることができ、そうなったら債権者にはお金が入ってこなくなります。そのまま認可決定がでたら給料は債務者に全額戻されます。つまり個人再生が申し立てられると、債権者が給与差し押さえを維持するメリットはほとんどなくなります。

そこで個人再生の申立後、債権者に「差押えの取り下げをお願いします」と連絡を入れます。理解のある債権者であれば、そのまま取り下げに応じてくれます。すると、面倒な「中止命令の申立」や「執行停止の申立」「取消命令の申立」などをしなくても、すぐに給料を全額受け取れるようになります。

個人再生の申立をしないと取り下げには応じてもらいにくい

このようなことを聞くと「それなら個人再生なんてしなくても、債権者にお願いして取り下げてもらったらいいんじゃないの?」と思うかも知れません。しかしそれは通常不可能です。なぜなら個人再生を申し立てないと、債権者にとって差押えを取り下げる理由がないからです。

個人再生の申立後は債務者が中止命令を申し立てることが可能ですが、申し立てられない限りずっと差し押さえた給料を受け取れるからです。そのまま債務者が個人再生をしなかったら差押えを取り下げる必要はありません。そこで個人再生の申立もしていない債務者から「申立予定があるから取り下げてほしい」などと言われても、通常の債権者は取り下げには応じません。給与差し押さえを止めたければ、早急に個人再生の申立を行うことが重要です。

個人再生の手続き開始決定後は強制執行できなくなる

「借金滞納していたら、クレジットカード会社から裁判を起こされた!」という方もいらっしゃるでしょう。放っておくと給与差し押さえをされてしまうおそれがあります。

まだ給与差し押さえが始まっていないなら、早期に個人再生することをお勧めします。個人再生の再生手続き開始決定があると、その後債権者が新たに差押えを申し立てることができなくなるからです。
個人再生手続き開始決定には「それまでの給与差し押さえが中止」されるだけではなく「新しく給与差し押さえできない」効果もあるのです。

給与差し押さえをされると会社にはほぼ確実に借金問題を知られますし、家族に知られたり住宅ローンの支払いが苦しくなったりしてデメリットが大きくなるので、早急に対処しましょう。

個人再生で給与差し押さえを止めるには弁護士に相談!

個人再生は、給与差し押さえへの対応策として非常に有効です。ただお一人ではどのように動いて良いかわからないケースがほとんどでしょう。そのようなとき、専門家によるサポートが必要です。まずは債務整理に熱心に取り組んでいる弁護士に相談して助けてもらいましょう。

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