遅延損害金とは?遅延損害金の支払いをカットする債務整理のポイント

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遅延損害金とは

遅延損害金は、返済期限に遅れたときに支払う損害賠償金

遅延損害金とは、借金の返済期限に遅れたとき(履行遅滞)に発生する損害賠償金です。

最初に約束していた返済期限が過ぎても借金を返してもらえないと、債権者は損害を被ることになります。債務者が支払いに遅れ、債務不履行を起こした場合の損害賠償として、債権者は遅延損害金を債務者に請求することが法律により認められています。

遅延損害金と利息の違い

遅延損害金は、よく「利息」と混同されることが多いです。いずれも“年率○%”で表示され、一見よく似ているため違いがわかりづらいのですが、遅延損害金と利息は、そもそもの性質から異なる別物です。この二つはどのように違うのでしょうか?

利息は元本利用の手数料的なもの

利息は、大元の借り入れ(元本)に対する手数料的な性質を持っています。たとえば、100万円を借りた場合には、“100万円を使用させてもらった対価”として利息を支払うことになります。
ちなみに利息制限法第1条では利息の上限について、以下のように定められています。上限を超える部分については、無効となります。

  • 元本が10万円未満……年20%
  • 元本が10万~100万円未満……年18%
  • 元本が100万円以上……年15%

遅延損害金は返済期限に遅れたことへのペナルティ

一方、遅延損害金は冒頭で述べた通り、返済期限に遅れたことについてのペナルティという意味があります。
計算方法は利息と同じで、返済に遅れた日数ごとに、日割り計算で遅延損害金が発生していきます。
計算方法が利息と似ていることから“遅延利息”と呼ばれることもありますが、実際は利息とはまったく異なる性質を持っています。

遅延損害金の利率

貸金業者へ支払う遅延損害金は上限20%

借金の契約(金銭消費貸借契約)を結ぶ際に、遅延損害金の年率について特別な合意をしていた場合には、その年率が優先されます。
ただし、貸金業者から借金をした場合には、法律で上限 年20%と決められており、それを超える部分については無効となります(利息制限法第7条1項)。
つまり、借金の契約時に「遅延損害金は年30%」と約束していた場合であっても年20%を支払えばよい、ということです。

貸金業者以外へ支払う遅延損害金は上限21.9%~29.2%

一方、友人・知人などからお金を借りた場合には、もう少し高い遅延損害金でもよいとされています。
貸金業者以外の者から借金した場合の遅延損害金は上限利率の1.46倍までとされているので、遅延損害金の上限は以下の通りとなります(利息制限法第4条1項)。

  • 元本が10万円未満……年29.2%
  • 元本が10万~100万円未満……年18%
  • 元本が100万円以上……年21.9%

特別な合意がなければ遅延損害金の利率は3%

遅延損害金の利率について特別な合意がなされていない場合は、民法に定められている法定利率により計算することになります。

2020年4月より遅延損害金の利率は“変動制”に

2020年4月から施行されている改正民法にて、遅延損害金は年3%からスタート(民法404条2項)、3年ごとに1%ずつ見直される“変動制”が新たに導入されました(同404条3項)。
改正前の民法では、法定利率は年5%または6%でしたが、近年の市場で超低金利が続いている現状を反映して変更されたものです。

今後、借金の返済期限に遅れた場合、なおかつあらかじめ遅延損害金について特別な合意をしていなかった場合には、「返済期限」の時点における法定利率が遅延損害金の計算に適用されることになります(改正民法419条)。

遅延損害金は支払わないといけないもの?

では、遅延損害金はいかなる場合も、必ず支払わなければいけないものなのでしょうか?

債権者からすれば、遅延損害金は、法律で定められた、請求する権利のあるお金であることは間違いなく、法的には「支払わないといけないお金」という考えで間違いはありません。

遅延損害金は交渉で減額・免除してもらえるケースも

一方で、実は、遅延損害金は、債権者との交渉次第で減額または免除をしてもらえることも少なくありません。無理に遅延損害金を取り立てることによって債務者が支払不能に陥り、自己破産されてしまっては、債権者側も困るからです。

自己破産されて回収金額がほぼゼロになるぐらいなら、遅延損害金ぐらいは減額・免除してもよい、と考える債権者は少なくありません。
では具体的にどうやって遅延損害金の支払いを回避すればよいのでしょうか?次章で説明します。

遅延損害金の支払いを回避するには

任意整理で遅延損害金をカットする

遅延損害金の支払いを免除・減額してもらう方法としてよく利用されるのは、任意整理です。
任意整理は、債務整理の方法のひとつ。弁護士が債権者と直接交渉して和解し、“過払い金の元本充当”や、“遅延損害金と将来の利息の免除・減額”などを行います。和解後は、残りの元本を3~5年かけて少しずつ返済していくことになります。

任意整理の和解交渉は“弁護士会の統一基準”に従って進められますが、その中の「和解案の提示にあたっては、それまでの遅延損害金、並びに将来の利息は付けないこと」という規定に基づいています。

遅延損害金のカットに任意整理がおすすめな理由

裁判所を通さない、条件の緩やかな債務整理である

任意整理は、自己破産や個人再生などの手続きとは違って“裁判所を通さない”のが特徴です。

裁判所で行う債務整理は利用条件が厳しく、手続きに手間がかかります。
その点、弁護士が債権者(貸金業者)らと直接交渉してくれる任意整理なら、利用条件などはそこまで厳しくないため、他の債務整理に比べてハードルが低いと言えるでしょう(その代わり、たとえ少しずつでも地道に返済できる能力があることを弁護士に示す必要があります)。

財産を手放す必要がなく、柔軟な対応が期待できる

また財産を手放す必要がないことも、メリットです。自己破産では、最低限の生活必需品以外の財産は、没収されてしまいます。
債権者にとっても、自己破産されて借金が回収できなくなるよりはマシなので、任意整理による借金(遅延損害金含む)減額に積極的に応じてくれる可能性は予想以上に高いと言われています。
全体的に、柔軟な対応をしてもらいやすいのが、任意整理の大きなメリットです。

他の債務整理方法を検討する

任意整理がどうしても行えない事情がある場合には、個人再生や自己破産などの選択肢も残されています。
個人再生と自己破産は、裁判所で行う債務整理の手続きです。
利用するためには厳しい条件を満たす必要がありますが、遅延損害金を含む借金全体の軽減を図ることができます。

債務整理による遅延損害金の軽減は弁護士に相談を

クレジットカードやカードローンなどの返済遅れで発生する遅延損害金は、年20%にのぼる高利率であることもあり、借金生活を悪化させるきっかけとなります。支払いが厳しいと感じたら、債務整理を弁護士に相談し、利息や遅延損害金のカットや、借金そのものの減額を検討することをおすすめします。

債務整理を弁護士に依頼すれば取り立てがストップする

債務整理の依頼を受けた弁護士が“受任通知”を貸金業者充てに送ると、貸金業者は債務者に直接取り立てをすることができなくなります(貸金業法21条1項9号参照)。
取立てが一時停止する期間は、受任通知から和解が成立するまでの3~6ヶ月間程度です。
その間弁護士が全ての交渉を代わりに行ってくれるので、精神的・手続き的負担がかなり軽減されるでしょう。

債務整理に精通した弁護士が借金生活からの脱却をサポート

借金相談を申し込む際は、債務整理の実績が沢山ある弁護士を選ぶことが大切です。債務整理に精通した弁護士は、任意整理による遅延損害金カットはもちろん、相談者の状況をふまえた最適な債務整理プランを提案し、借金生活からの脱却をサポートしてくれます。
無料法律相談などを利用して比較検討しながら、相性がよく信頼できる弁護士を探してみましょう。

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